腹壁ヘルニアの緊急手術

ヘルニアと聞いて誰もが思い浮かべるのは腰などの神経麻痺を起す椎間板ヘルニアだと思います。

しかし、本来ヘルニアとは、臓器の一部が本来あるべき腔から逸脱した状態のことをさします。腹部では、腹壁ヘルニア、鼠径(そけい)ヘルニア、臍(さい)ヘルニア・横隔膜ヘルニアなどがあり、部位によって腹部以外では、椎間板ヘルニア・脳ヘルニアなどもある、ということなのです。

今回の手術症例のミニチュアダックスフントのアイちゃん。何年も前に帝王切開したあとの縫合部が裂けて、その隙間から腸管が皮下へ脱出、狭いヘルニア孔で締め付けられた腸管が激しく壊死して皮膚まで内出血している状況になってしまいました。

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飼い主さんは、大人になったアイちゃんを譲り受けたので、何かお腹が変だなとは感じていましたが、それがヘルニアとは思ってもみなかったようです。

ところがここ数日、その部位がみるみる腫れあがり、元気・食欲がなくなり水を飲んでも吐き出したので、ただ事ではないと来院されたのです。

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鶏の卵よりも大きい腫れ。手術前のアイちゃん。

慎重に皮膚を剥離していくと、2cmほどのヘルニア孔から、ねじれて血行が遮断され真黒になった小腸が団子のようになって飛び出していました。
しんでしまった腸はもはや回復の見込みがないほど損傷がひどかったので、10cmほど腸を切断し、縫い合わせる手術をすることに・・・

お腹を開けて、皮膚を縫い終わるまで2時間を要する大変な手術となりましたが、アイちゃんはがんばってくれました。
今日は、病院に置いておくのが心配なので、私の自宅に連れ帰って回復を見ているところ。
麻酔から覚めたアイちゃんは呼びかけに尻尾をふって答えてくれています。

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あとは、腹膜炎を起こさないよう数日間は集中的な治療を続け、縫い合わせた腸が回復してくれるのを待ちます。まだまだ予断は許しませんが、元気になってくれることを祈ります。

これは他の子ですが、鼠径部のヘルニアの初期症状。
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この段階ではまだ脂肪しか出ていないので手術も比較的楽で回復も早いのです。おなかにぷよぷよとした柔らかいしこりを見つけたら、病院で早めの診察をお勧めします。
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by yukuhashi-a-c-c | 2008-09-27 01:31 | 症例


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